INTRODUCTION

今、ジュリアン・ムーアへの熱い喝采が止まらない──。
ついに、念願のアカデミー賞®受賞!


 第87回アカデミー賞®授賞式で主演女優賞が発表された瞬間、ひときわ大きく鳴り響いた拍手喝采は、ジュリアン・ムーアのこれまでの華々しいキャリアに、そして何よりその頂点となった本作の演技に贈られた。

 これまでムーアは、ハリウッドの栄えある賞レースに必ず名を連ね、『めぐりあう時間たち』でベルリン、『エデンより彼方に』でヴェネチア、『マップ・トゥ・ザ・スターズ』でカンヌと、世界三大国際映画祭の女優賞を制し、全世界の演技派女優のトップに立ち続けてきた。

 そんなムーアが過去の栄誉に甘んじることなく挑戦した、全く初めてかつ困難な役柄が本作の主人公“アリス”だ。50歳で若年性アルツハイマー病を発症し、日々記憶を失くしながらも最後まで懸命に闘おうとするアリスを、真正面から怯むことなくリアルに演じきったのだ。各国で上映されるや、批評家たちからも絶大な支持を受け、様々な世界の映画賞で22冠となる主演女優賞を獲得してきた。そのなかには、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞という主要な賞も含まれている。

 そしてついに、5度目のノミネートにして念願のオスカーを獲得した結果、ムーアは女優史上初となる、世界主要6大映画賞<主演女優賞>制覇という快挙も成し遂げた──!

すべての記憶を失う若年性アルツハイマー病と
宣告されたら、あなたならどうしますか──?
避けられない運命との葛藤と、家族の絆を描く感動の物語!


 50歳のアリスは、まさに人生の充実期を迎えていた。高名な言語学者として敬われ、ニューヨークのコロンビア大学の教授として、学生たちから絶大な人気を集めていた。夫のジョンは変わらぬ愛情にあふれ、幸せな結婚をした長女のアナと医学院生の長男のトムにも何の不満もなかった。唯一の心配は、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディアだけだ。ところが、そんなアリスにまさかの運命が降りかかる。物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告されたのだ。その日からアリスの避けられない運命との闘いが始まる──。

 夫で医学博士のジョンには、『ブルージャスミン』のアレック・ボールドウィン。変わりゆく妻を見守る悲しみに心を引き裂かれる夫の弱さを、情感豊かに演じた。母親に似て頭脳明晰で勝気だが、意外な脆さを抱えた長女のアナには『スーパーマン リターンズ』のケイト・ボスワース。エリート一家の中の唯一の異分子である次女のリディアには、『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワート。反発していた母親と初めて向き合い、娘が誰かもわからなくなっても、彼女の尊厳を守ろうとする姿は、涙なくしては見られない。ムーアの迫真の演技を受け止めて、それぞれが魂を込めて演じる家族の想いが胸に迫る。

 原作は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーランキングに40週間にもわたってランクインし、世界各国で25の言語に翻訳されたリサ・ジェノヴァの「アリスのままで」。監督はリチャード・グラッツァーとウォッシュ・ウェストモアランド。自身もALS(筋委縮性側索硬化症)と闘病中のグラッツァーが、誰のせいでもない苦しみと、その中にもなお喜びを見出そうとするアリスの心境に細やかに分け入った。

 最後には自分の名前すら思い出せなくなっても、アリスが生きた証は決して消えはしない。人生に何が待っているのか、誰にも予測などできはしない。それでも、瞬間、瞬間を精いっぱい生きることの尊さを伝えてくれる、深い感動の物語が誕生した。